それでも君が必要だ
驚いてビクッと手を引っ込める智史さん。
「なっ、……なあに?どうしたの?」
だって……。そんなに適当に取り出したら、後で元通りにできなくなるのでは?
「順番に出さないと、後でちゃんと戻せなくなると思う……」
「ほおー、なるほど!じゃあ、順番にね」
智史さんはニッと笑ってまた楽しそうにファイルに手をかけると、今度は端から順番に出してせっせと机に並べ始めた。
こっそり隠れてコピーを取ることがそんなに楽しいのでしょうか?
「じゃあ、コピーしよう!」
意気揚々とバサッとファイルを広げ、適当に真ん中あたりで綴じ目を開けようとする智史さんを見て、また「あっ!」と声を出す。
「……今度はなに?」
「一枚目から順番に取らないと、元通りにできなくなる」
「あははっ!それもそうだね。こっそりバレないようにやるって難しいなあ」
そんなに難しいことでしょうか?
さっきもお部屋を見て思ったけれど、もしかして智史さんって整理整頓が苦手なのかな?
繊細な機械を扱う人は几帳面で細かいのかと思ったけれど……。
「じゃあ美和先生!次はどうしたらいい?」
「えっ?」
智史さんは、いやいや参ったねーと笑って頭をかいた。
「俺、大雑把だからさ、バレないように証拠を残さない、なーんてできないんだよね。ちゃんと言われた通りにやるから、教えて?」
智史さんったら、美和先生とか言っちゃって。
私だってバレないようにコピーを取るなんて初めてなのに。
とりあえず、こういうのは一つ一つ順番に丁寧にやればいいだけなんじゃないのかな?