それでも君が必要だ
私……いったい何をしているんだろう?
智史さんの役に立てるなんて喜んでいるけれど、こんなことをしたら私が要らなくなるだけなのに。
それに。
父の思惑からも外れてしまう。
私、父の思い通りに動かないと……。
……。
でも……。
それって、どうなのかな?
……違う。
何か、違う。
私、自分から望んで、私の意思で智史さんのお手伝いをしているの。
それなのに、どうして父の思惑通りに動かなければ、なんて考えてしまうの?
どうして父の言いなりにならないといけないんだろう?
怒鳴られるから?
殴られるから?
そんなの、どうだっていい。
言う通りに動いたって、どうせ殴られるんだもの。
私、自分の思ったことをやりたい。
思ったように動きたい。
私……。
自由になりたい。
「疲れたんじゃない?ひと休みしようよ」
智史さんの声にハッとした。
「……」
見るとコピーは全体の半分くらいまで進んでいた。
こんなに進んでたっけ?
ボーっとしていて気がつかなかった。
順番がおかしくならないように、紙の束をまとめてファイルに綴っていると、智史さんは小さな箱を取り出し、トントンッと手のひらに箱を振った。
その様子を横目で見ていると、智史さんは何かをつまんでスッと差し出してきた。
「はいっ!あーん」
「?」
智史さんの手が目の前に……。
目が合うと、智史さんはにっこり微笑んだ。
「キャラメル。食べようねって言ってたでしょ?はい、口開けて」
おずおずと口を開けると、思いのほか大きな硬い塊がコロンと口の中に入ってきた。
長い指がわずかに唇に触れてドキッとする。