それでも君が必要だ
「大丈夫?痛くない?」
「……はい、大丈夫、です」
はあっ……。
お手伝いどころか迷惑ばかりかけている。心底落ち込む。
「赤くなっちゃった?火傷してないといいけど」
「大丈夫です。本当にごめんなさい……」
「謝らなくてもいいんだ。それにさ」
智史さんがいったん言葉を切ったから、不安になって見上げた。
「美和さんには悪いけど……ククッ……、なんかいちいち面白すぎるよっ!」
智史さんは我慢しきれない、という表情でプッと吹き出し、それから片手でお腹を押さえて「クフフッ!あははははっ!」と大きな声で笑い出した。
そんなに思いっきり笑わなくても……。
「……あー、ごめんごめん!笑ったりして。こんなに可愛い人に出会えて、俺ってホント幸せだよ」
「……」
どうしてまたそんな嘘……。
こんな料理もできないドジな女、邪魔なだけなのに。
婚約者として失格、ですよね?
「手はもう平気そうだね」
流水で冷えて赤みが取れた手のひらをタオルで拭くと、智史さんは私の肩を掴んで言った。
「じゃあ、美和さんは応援係ね!」
結局、見ているだけになってしまった。
何のお手伝いもできなくて、本当にごめんなさい。
申し訳なくて、料理をする智史さんの端正な横顔をじっと見つめる。
はあ……。
料理をする横顔も素敵ですね。
思わず見蕩れてしまう。
私とは不釣り合いな、私の素敵な婚約者。
見蕩れる私に気が付いたのか、鍋の中を見たまま智史さんはフッと笑った。
「美和さん?美和さんの応援はじっと見つめること、なのかな?」
えっと?そうかも。
うん、とうなずく。
「んふふ、いいね!可愛いなあ」
「……」
またそういう嘘をつく。
そんな嘘をついてもらっても、悲しくなるだけだからやめてほしいのに。
やっぱり、智史さんはドSだと思う。