それでも君が必要だ
「あー親父、団子もあるんだ。そこ置いてあるから持ってって」
「お、いいね!」
社長さんはお団子の包みを手に取り、コップを出してお盆に並べると冷蔵庫から作り置きの麦茶を出して運び始めたから、その後について歩いた。
「あの、社長さんっ。お手伝いします」
「あらら!やだなあ、社長さんじゃなくて『お父さん』って呼んでー」
あ。智史さんと同じようなことを……。そういうところ、親子ですね。
「……お、お父さん」
「いいねえ、その響き!じゃあこれ持って」
嬉しそうにそう言って麦茶を渡された。
麦茶を作り置きしているなんて、男の二人所帯の割にきちんとしている。
この人たちは書類の整理整頓が苦手なだけで、それ以外は私なんかよりずっときちんとしているのでは?
お父さんの後について廊下を進むと、畳敷きの広い居間に到着した。
お庭が見えて、大きな座卓とテレビがある。
私がきょろきょろしていたら、お父さんは座布団を出してくれた。
「美和さんはここに座ってね」
「は、はい」
誘導されるまま座ると、お父さんはリモコンを手に取り、ピッとテレビをつけた。
画面が付いた途端、テレビから聞こえてくる音で居間が急に賑やかになる。
何の番組かな?
デパ地下特集?
普段テレビを見ないから、ついじっと見入ってしまう。
デパ地下のお惣菜ってとっても色鮮やか。種類もいろいろあるんだなあ。
そこへお盆にたくさんお皿を乗せた智史さんが襖を足で開けて入ってきた。
「はいはーい、できたよー。熱いうちに食べよ!」
智史さんは手際よくそれぞれの前にご飯とお味噌汁と取り皿を並べ、大皿に乗った肉じゃがと蓮根のきんぴら、ほうれん草のお浸しも並べた。