それでも君が必要だ

きんぴらとお浸しもある!いつの間に!?

「智史さん、これたった今作ったんですか?」

「ん?やだなあ、何言ってんの?これ全部なんてすぐには作れないよ。きんぴらとお浸しは作り置き!」

「あ……」

そっか。
肉じゃがが魔法みたいに早く出来たから、きんぴらとお浸しも今作ったのかと思ってしまった。

それにしても、お料理の作り置きもしておく智史さんって本当にすごい。

「はいっ!じゃあ、食べよ!いただきまーす」

「いただきます」
「いただきます」

智史さんが最初に言ったから、お父さんと私も手を合わせて声を揃えていただきますを言った。

いただきます、なんて久しぶりに言った気がする。

なんて言うか、暖かい食卓。

さっきテレビで見たデパ地下のお惣菜より、智史さんが作った料理のほうがずっとずっと美味しそう。

智史さんは取り分け用に置かれた大きなスプーンで大皿から肉じゃがをすくい、私の取り皿に入れてくれた。

「食べてみて」

「は、はい」

じゃが芋からはほくほくと湯気があがり、玉ねぎも味がよくしみ込んでいそうな艶やかな飴色をしている。

お皿を見つめ小さくもう一度「いただきます」とつぶやき、お箸でつまんだじゃが芋を口に運んだ。

ぱくっ。

あ、熱い。

でも、ほろりと口の中で崩れたじゃが芋は、ほんのり甘くてしょっぱくて……。

「……おいしい」

私のつぶやきに、智史さんはにっこり笑った。

「そう?良かった」

温かい食事。
穏やかな雰囲気。

こんな食卓もあるんだ。
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