それでも君が必要だ
智史さんはうっすら笑ったように見えた。
何を考えているんだろう?
「じゃあ、嫌なものは?何かあるでしょ?例えば……君は車が嫌いなんだよね?乗り物酔いでもするのかな?」
「え?……えっと、そう、ですね」
本当は違う。
けれど本当の理由なんて言えないから視線をそらせてそう答えたら、智史さんはシラッとした疑いの目を向けた。
「ふーん……。車が嫌いな理由は乗り物酔いじゃないんだ?君はわかりやすいね。嘘つけないタイプだね」
「……」
なんか智史さん、さっきと違う雰囲気。
見透かされている?
私ってわかりやすいの?
わかりやすい、なんて言われてしまうと何も言えなくなる。
「じゃあさ、美和さんはお友達とは普段どこに遊びにいくの?」
「え?えーっと……」
「お友達はどんな人?」
「……あの、……友達は……いないんです」
「やっぱりね」
「……?」
やっぱり?
友達がいないなんて言いたくもないことを言わされて、自分でもショックを受けているのに、やっぱりなんて言われるとわけがわからなくなる。
「じゃあさ、好きな歌手はいる?」
「か、歌手?……よくわかりません」
「趣味は?」
「特に、ありません」
「好きな食べ物は?」
「……ありません」
智史さんはそこまで聞いて上を向くと、あははと爽やかに笑った。
「そこまで何もないとむしろ気持ちがいいね。じゃあ、質問を変えようかな」
「はあ」
「美和さん、会社で苛められてるでしょ?」
「……!」
なんで!?
驚いて固まった。大きくまばたきをする。
どうしてそんなことを知っているの?
「どうしてわかったのか不思議って顔をしてるね?」
そんなことまでわかってしまうんですか?
もう、どうなってるの?