それでも君が必要だ
「ちょっと持ってて」
智史さんからお団子の包みを受け取ると、意外にずしりと重かった。こんなにたくさん食べられるのかな?
智史さんは扉の鍵をガチャリと開け、中を覗いて大きな声を出した。
「おやじー、いるー?」
智史さんの声だけが響き、中からは特に返事らしきものは聞こえてこない。
社長さん、いないのかな?
「あー、いるいる」
ん?返事は聞こえないのに?
「じゃあ、入って。どうぞどうぞ!お茶でも淹れてお団子食べよ」
そういえばお団子って……甘いのかな?
今度こそちゃんと味わって食べよう……。
そっと背中を押されて工場に足を踏み入れると、ひんやり冷たい空気を感じた。
コンクリートの床にコツッと靴音が響き渡る。
たくさん並んだ大きな機械。
音の響きにつられて天井を見上げて、また驚いた。
広い空間!
「広い……」
「そう?天井が高いからそう感じるのかもね。ほら?奥の部屋の明かりがついてるでしょ?あそこ、親父の隠れ家なんだ。ちなみにその隣は俺の隠れ家ね」
智史さんが指さした方を見ると、工場の奥にコンテナみたいな部屋が作られていて、その窓から明かりがもれている。
「後で親父にもお団子、分けてあげようね?」
智史さんはそう言いながら私からお団子の包みを受け取った。
うんうん、とうなずく。
あの優しい社長さんに会いたい。
「ちなみに美和さん。うちの会社が何してるのか、知ってる?」
背筋を伸ばして工場を見渡す智史さんの横顔は精悍で、思わず息をのんで見蕩れた。
でも、智史さんの会社のことは全然知らない。
申し訳ないと思いつつ正直に首を振る。
「いえ……」
「うちの会社は俺のじいさんが始めた会社でね、最初は溶接機を作ってたんだ」
「はあ……」
ヨウセツキ?
なんだろう?