それでも君が必要だ
首を傾げた私に智史さんは苦笑いをした。
「興味ないかな?」
「いえ、あの、ヨウセツキって何ですか?」
「溶接機?んー、改めて聞かれると答えに困るけど、オジサンが教えてあげよう」
「あっ!」
しまった、敬語……。
ニヤリと笑う智史さん。
智史さん、やっぱりまだオジサンゲーム続けていたんですね?ちょっと敬語になるくらい、見逃してくれてもいいのに。
「テレビとかで見たことないかな?鉄仮面みたいなので顔をガードして、火花散らして金属をくっつける作業」
あー!ありますね、そういう作業。
ヨウセツって溶接のことですね?
私がうんうんとうなずくと、智史さんは微笑んだ。
「伝わった?うちの会社はね、元々はその火花を散らして金属をくっつける機械を作る会社なんだ」
「そう、なんだ……」
「そうなんだよ?」
敬語が使えなくてぎこちない私に、智史さんは嬉しそうに言った。
「じいさんの代からこの工場で溶接機を作っててね、今でも作ってる。でも親父は溶接を手作業じゃなくてロボットにやらせようとしたんだ。結果、今は垂直多関節ロボットっていう機械も作るようになったんだよ」
……?
うーん、やっぱり言葉の意味がわからない。どういう意味?
「スイチョクタカンセツロボット……?」
小さく確かめるように声に出して言ってみても、わけがわからない。
智史さんはそれを見てクククッと笑った。
「美和さん、さっきから片言の音声読み上げソフトみたいな喋り方で面白いね」
「……」
思わず口をへの字につぐむ。
だって!
智史さんが敬語で喋ると自分はオジサンだなんて自虐するからじゃないですか!
もう!智史さんのせいなのに!
それを笑うなんて!
「怒ってるの?怒ってるなら言って?」
何を嬉しそうに……。