それでも君が必要だ

この素敵なお母さんも騙しているなんて……。
罪悪感で心が押し潰されそう。

ごめんなさい……。
ごめんなさい!
本当にごめんなさい。

『ねえ、美和ちゃん。自分で産んで育てておきながらこんなこと言うのもなんだけどさっ、智史はメンタルの強いドSだからね』

「……?」

え?
メンタルの強いドS?

今度は何の話ですか?

意味がわからなくて顔を上げた。

『諦めが悪いと言うか、打たれ強いと言うか。絶対にへこたれないし、むしろガンガン追究するし。美和ちゃんのこと、絶対に諦めないと思うの』

絶対に諦めない、なんて……。
お母さんは智史さんの言葉を心から信じている。

後ろめたさに思わず目を閉じたその瞬間、バンッと扉が開いて智史さんと社長さんが入ってきた。

入ってくるなり智史さんは私に駆け寄り、そっと肩に触れたからビクッと身を縮めた。

「ちょっと!ココちゃん、美和さんのこと苛めたんじゃないだろうね?」

『そんなことしません!智史のことよろしくねって話してたのよ。ねえ、美和ちゃん?』

「はい」

「ホントに?ココちゃんって時々言い方がキツイからさ。美和さん、気にしなくていいからね」

お母さんはまっすぐで正直で、本当に智史さんのことを心配している。だから、私にもちゃんと話をしてくれたんだと思う。

「……キツイことなんて、言われてない」

「あいかわらす棒読みだなー」

また棒読みを指摘され、ムッと口をつぐんで智史さんから目をそらせたら、社長さんと目があった。ぺこりと頭を下げると、社長さんはにっこりと微笑んだ。

「美和さん、よく来てくれたね」

社長さんの笑顔は、前に会った時と変わらない優しくて柔らかい笑顔だった。
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