美人はツラいよ
大学卒業後、入社してすぐに配属されたのは、受付だった。
明らかに顔で選んだな、と分かる先輩二人と交替で受付に座る毎日。
その先輩二人は、次々に寿退社していき、三年目には受付自体が廃止された。
代わりに置かれたのは社内の各部署と繋がる内線電話と、各部署の電話番号表。
アポイントがある客は担当者が受付まで迎えにくるし、そうでない客は自分で呼び出しやがれ、という極めて合理的なシステムだ。
我が社の経営がそれほど危ないという訳でもないと思うのだが、時代の流れで経費削減に熱心になるのは致し方ないことだろう。
そして、電話機に仕事を奪われた私は、経理課に異動することになる。
それまで受付で来客の取り次ぎと、会議室への誘導、お茶出ししかしていなかった私に、いきなり経理部門の仕事がこなせるはずもなく。
本来なら、この時点で一から仕事を覚えるべきところだが、周囲も私に大して期待していなかったのか、毎日簡単な雑用ばかりで重要な仕事を任されることもなかった。
そして、その雑用でさえも、必ず周りの男性社員が親切に手を貸してくれるという甘やかされっぷり。
(今思えば、人事課は私も先輩同様すぐに寿退社すると予想していたのだろう。)
だけど、今までの人生甘やかされている状態がノーマルだった私は、困ったことにその事にまるで危機感を抱かなかったのだ。