美人はツラいよ

その彼のあっという間の行動に、私は呆気に取られていた。
完全に当てが外れた美姫ちゃんと二人、口をぽかんと開けて暫し静止する。


「美姫ちゃん、俺、今から外出るから帰りにカフェモカ買ってくるよ。」

どこから聞いていたのか、田上の最大限に気を利かせた一言が聞こえる。


「あっ、いや、えーっと、じゃあ、おねがいします…」

美姫ちゃんの何とも気まずそうな返事を聞いて、私はようやく我に返った。


今の、何だったの?

久々に差し入れをもらって、少しだけ優しくされただけで、格段に気持ちが上がった。
…だけでなく、去り際に彼が私だけに向けた微笑みに、私の胸はドキドキ高鳴っていた。


雰囲気イケメンの威力
ハンパね~!!

そして。
田上さん、ナイスフォロー!
今日だけは絶賛しておいてあげよう。


でも、勘違いしてはいけない。
あくまで、昨日私が仕事を手伝ったからで。
たまたま、彼が若い子(というより、美姫ちゃん)に興味が無かっただけだ。

アラサーOLの分不相応な勘違いは…
命取りだ。
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