美人はツラいよ
頭の中でぐるぐると考え事をしていると、テーブルの向かい側からはクスクスと笑い声が漏れ聞こえてきた。
視線を真正面に戻せば、そこには笑いを堪えるように、口に手を当てている松田君の姿があった。
「ここを出るまでは我慢しようと思ってたんですけど、無理でした。」
「何で、笑ってるのか説明してもらえる?」
「すみません。萱島さんが、必死に考えてる顔が可愛くて、つい。」
少し不機嫌に尋ねる私に、彼は何故かとても上機嫌で答えた。
「あと、今、多分僕のことで頭がいっぱいなんだろうなと思ったら、嬉しくて。おそらく、コイツ一体何したいんだ?とか考えてたんだろうな。」
先ほどまでの、頭の中での攻防を全て見透かされていたようで、どうにも居心地が悪い。
私は、「違うわよ」と言って、彼から視線をそらした。
「とりあえず、その質問にだけ答えます。」
私が否定したのを無視して、彼は語り始める。
「前にも言ったように。僕は萱島さんが欲しい。ずっと前から、あなたを自分のものにすることしか、考えてませんよ。」
私が思わず再び視線を向けると、松田くんは、にっこりときれいな笑みを浮かべたのだった。