美人はツラいよ
「どうして、私…なの?」
やっと口から出てきたのは、とてもシンプルな疑問だった。
でも、それは一番、彼の真意を推し量るのに適していると思う。
見上げた彼は、少しだけ驚いた顔をした後に、少年のように嬉しそうに笑った。
「やっと、本気にしてもらえた。」
「とりあえず、冗談だったのに本気にしちゃって!とか笑うなら今にして。」
「また、そんなことを。どれだけ自己評価が低いんですか。」
「だって、仕方がないじゃない。ここ数年はすっかり色気のない生活が定着してるんだもの。」
「まあ、それに関しては、僕にとって好都合でしたけどね。」
笑顔で好意をあからさまに匂わされて、躊躇したものの、私は頭に浮かんだ可能性の一つを口に出す。
「こんなこと聞くと、自惚れんなよって言われるかもしれないけど、私を好きだと言う理由は、この顔?」
「また唐突な。顔も確かに好きです。きれいなお姉さんは、男はみんな好きですから。」
「顔目当てなら、やめておいた方がいいと思う。私、多分松田君が思ってるような女じゃないから。」
「残念ながら、違います。」
あはは、と笑う彼は前を向いたまま、つぶやいた。
「もうすぐ着いちゃいますけど、その答え、今話してもいいですか?」
私は、すぐに答えた。
「よかったら部屋でコーヒーでも。」
「そのセリフ、やっと言ってもらえた。でも、僕を部屋に上げてもいいんですか?自分に熨斗つけて差し出すようなものですよ。」