美人はツラいよ
キスはすぐに激しいものへと変わり、再びベッドの中でもつれ合うように抱き合った。
次第に私の体にも一度引いた熱が再び点り始め、すぐに体が甘く疼きだす。
あれだけ大きな声でダメと言っておきながら、彼のことが欲しくて仕方がなかった。
もうこれ以上は我慢できなくなると感じて、彼から離れようとしたところを、彼にがっしりと腕を掴まれてそれを阻まれた。
「ん?もう、欲しくなっちゃった?」
相変わらずのストレートな表現に思わず口を閉ざす。
「我慢しなくていいですよ。」
でも、と言い掛けたところ、彼はそそくさと立ち上がり、自分の鞄から何かを取り出して戻ってきた。
「ちょっとだけ、待っててください。」
そう言って、手の中の箱の封を開けていく。
中から小袋を取り出して、袋の端をピッと切る。
その様を、私は唖然と見つめていた。
「さあ、準備できた。」
「やだ、…持ってたの?」
「そりゃ、普通用意するでしょ。好きな女の人とデートですよ?下心一つもなしに高級フレンチなんて連れてきませんよ。まあ、実際に出番があるとは思ってませんでしたけど。念のため、用意しておいてよかった。 」
唖然とする私に、彼はにっこりと微笑みかける。
「やっぱり、千景さんはおもしろいなぁ。」
それが、最上級の褒め言葉であることを、私はもう知っている。
彼の腕が私を性急に抱き寄せる。
「愛してるよ。」
本当に満足そうに呟いた彼の腕の中で、私は一晩中熱い夜を過ごしたのだった。