美人はツラいよ
「全く男っていうやつは…」
社員食堂の片隅、すでに定位置になりつつあるテーブルに肘を突いて、私はコンビニの弁当をつつきながらを愚痴をこぼした。
「アンタが、それ言う?」
すかさず指摘したのは、向かい側に座る同期の赤松由紀恵(あかまつ ゆきえ)だ。
社員食堂のA定食(本日はチキン南蛮らしい)を平らげながら、完璧にメイクされた眉を顰めた。
「確かに。若い頃の千景ちゃんの方がもっとすごかったものね。」
そう言いながら、ふふふと上品に笑うのは、同じく同期の森涼子(もり りょうこ)で、彼女は自作の、やたらに彩りの良いお弁当のおかずに、行儀よく箸をのばしている。
うちの社員食堂は持ち込み自由。
だから、涼子は毎日手作り弁当を持参して席に着く。私と由紀恵は、食堂の定食だったり、コンビニのパンだったり、その日の気分によって選んでいる。
今、同期で会社に残っている女子はこの三人だけで、いつもランチはこのメンバー、この場所だ。
「そうよ。アンタ、十分、特別扱いもチヤホヤも山ほどされてきたじゃない。それこそ、ミキティなんて目じゃないわ。」
彼女は美姫ちゃんをミキティと呼んでいるらしい。なるほど、小悪魔度合いが増す呼び方だ。