美人はツラいよ

由紀恵が眉を顰めながら私を非難するのには訳がある。

生まれてこの方、あまり意識したことはないのだが、どうやら、私は“美人”と呼ばれる部類らしい。

確かに、昔から街を歩けば怪しげなスカウトマンから声を掛けられたし、学生時代にはよく知らない男の子から突然告白されることも多かった。
一度だけ行った合コンでは、男の子全員から連絡先を聞かれて、女の子からは睨まれ、その後二度と合コンには誘われなかった。
由紀恵の言うとおり、社会人になってからは、毎日のように食事をご馳走になったり、難しい仕事は必ず周りの男性社員が助けてくれた。

私にしてみれば、自分の顔は両親にそっくりなだけの普通の顔だ。
二重の目は母親譲りで、鼻と口は父親似。二人とも特別顔が整っていると言われる訳じゃない。
どうやら、私の顔面は二人のいいところをうまく受け継いだ結果らしいが、見慣れた自分の顔は、いつも大して特別だとは思えなかった。
勝手に騒がれても困るし、別にチヤホヤしてくれと頼んだ訳でもない。
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