美人はツラいよ

目覚めたら、決して寝心地抜群とは言えない硬いベッドの上だった。
窓には昼間でも日が射さないようになっているのだろう、薄暗い室内でベッドの脇のやたらエロティックな色の照明が私たちをそっと照らしていた。

コンビニの駐車場で車に乗り込んだ私たちは、行き先を家の近所にあるこのラブホテルに決めた。
きちんとしたホテルに泊まろうと田上さんは言い出したが、こんな時間から泊まれるところを探すのは大変だ。
それならば、近くだし私のマンションへと言いたいところだが、お世辞にも片づいた状態だと言い難く、いくら何でも堂々と招くのには抵抗があった。
私が掃除下手というのは、すでに昔それが理由で彼氏にふられたという失敗談付きで、彼には打ち明け済みだから、今更隠すこともないのだが、やはり出来ればあの惨状は見せたくなかった。

こうして、その存在は知っていたものの、一度も来たこともなければ、また来ようとも思ったこともない、その一見シティホテル風の建物に初めて足を踏み入れた。
そこで、私は思いがけずいくつもの“初めて”を体験することになる。

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