美人はツラいよ
しかし、ある時期を境に、パタリと周りは私を特別扱いしてくれなくなった。
してくれと言った覚えはなくとも、なくなれば気になるのが乙女心というものだ。
何が起こったのか最初は全く理解できず、かなり困惑した。
私は何も変わっていないし、誰かに対して酷いことをした覚えもない。
ただ、月日を重ねただけ。
その原因が、まさに月日を重ねただけだということを、懇切丁寧に教えてくれたのは、この二人だった。
「でも、さすがに扱いひどくない?」
「まあ、許容範囲じゃない?」
「いや、むしろ普通よ。」
「え~。」
不満を口にすれば、二人は何でも無いことのように言ってのける。
「私なんていつもそんな感じよ。」
「私は、むしろ一緒になって後輩持ち上げるようにしてるけど。」
どうやら、私が受けた扱いは、29歳女子なら妥当な線らしい。
二人とも器量が悪い訳ではない。
涼子は二年前に、由紀恵は半年前に結婚して、二人ともステキな旦那様が居る、いわゆる勝ち組である。
未だ独身(どころか、恋人もいない)で負け組へまっしぐらなのは、私だけだ。
「同情するわ。私と比べたら、千景ちゃんは落差が激しいからね。」
納得いかない顔で弁当を平らげていたら、涼子が見かねたように声を掛けてきた。