美人はツラいよ

私は、はたと気が付いて、慌てて体を起こした。
腰に絡みついていた田上さんの腕をそっとほどいて、隣でスヤスヤと眠る彼を起こさないようにベッドを抜け出す。

何としてでも、彼がメガネを掛けるまでに、メイクをしなくては。
部屋の壁に貼られている大きな鏡に映っているのは、私のとびきり幼く見える素顔だ。
それに対して首から下のプロポーションはやけに大人びている。
大きく膨らんだ形の良い胸と引き締まったウエスト、色気のあるきれいな丸いヒップライン。
要するに、顔と体型がアンバランスすぎるのが、私の最大のコンプレックスなのだ。

慌てていたため、裸のまま歩いてバッグから化粧ポーチを引っ張り出す。
バスルームに駆け込もうと思ったところ、後ろから声がした。

「美姫ちゃん、どこ?」

振り返るとベッドから起きあがる田上さんが見えた。
私を探しているのか、キョロキョロしながら枕元のメガネに手を伸ばす。

「いやー、だめー!!」

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