美人はツラいよ
私は咄嗟に両手で顔を隠した。
どうしても、すっぴんだけは見せる訳にはいかない。

「美姫ちゃん、隠すとこ間違ってるよ。」

前は見えないが、笑いをかみ殺した声で彼が近づいてくるのが分かる。
バスローブを肩に掛けてくれたようだか、手がふさがっているため前を閉じることは出来なかった。

「風邪引くから、ちゃんと着なよ。裸より、すっぴんの方が見せるのに抵抗があるの?」
「うん、お願いだからすぐにメガネ取って。」
「別に、大丈夫だよ。」
「駄目だって、絶対。」
「やっぱり、隠すなら体の方じゃない?」
「体は自信あるもん。それに、昨日も見せたし。」

自分で言っていて恥ずかしくなるが、本当のことだ。
必死で顔をふさいでいる私に向かって、彼は笑って言った。

「すっぴんも昨日ちゃんと見てるよ。」
「うそ、メガネ掛けなきゃ見えないって言ったじゃん。」

だから、安心してお風呂で化粧を落としたのに。
まさか…

「確かに普通の距離じゃ見えないけどね。近視だからね、すごく近づいたらよく見えるよ。」
「えっ!」

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