美人はツラいよ
昨日の夜、お風呂からあがった後にもう一度ベッドで抱き合ったことを思い出す。

「もうすっかり見ちゃってるから、諦めなよ。」
「ええ~~~、うそ~~~~。」
「ホント。美姫ちゃん、視力いいもんね。そんなこと、知らないよね。」
「知らないっ!田上さんの嘘つき!」
「ごめん、ごめん。でも、すっぴんも可愛かったから、何の問題もないよ。」
「うそ、どこが可愛いのよ!!」

私は、怒りのあまり両手を顔から外して、目の前の彼を睨みつける。
ようやく目が合った田上さんは、嬉しそうに笑っていた。

「可愛いよ。ホント可愛い。」

私を抱きしめて、彼は耳元で囁いた。

「俺はすっかり美姫ちゃんに骨抜きだからね。理屈抜きで、本当に何でも可愛く見える。」

あまりにストレートに告げられた一言に真っ赤になりながらも、顔を隠す気はすっかり無くなっていた。
彼の言葉が気休めではなく、本心だと分かる。
なぜなら、私も今、メガネを取れば平凡そのものなはずの彼の顔が少し格好良く見えてしまっているから。
完全に二人揃っておかしな魔法にかかっている。

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