美人はツラいよ


「ふーーーーーん。ま、幸せなら、いいけど。おめでとう。」

ランチセットのハンバーグを平らげながら、千景さんの事情聴取に応じた結果。
彼女は渋々といった表情で、祝福の言葉をくれた。

「相手が田上さんだってのが、思いっきり気に入らないけど。」
「千景さん、心の声がだだ漏れですよ。」
「だってさぁ、どう見ても美姫ちゃん勿体ないじゃん!!ただの、おっさんだよ?完全無欠の小悪魔女子なら、もっといい男が…」
「それを言うなら、若い頃の千景さんは大企業の御曹司でも、どっかの国の王子様でも、それこそアラブの石油王でも選び放題だったと思います。」

でも、選ばなかったでしょ?
つまりは、そういうことなんです。
私の反論に「そんな訳ないでしょ」とツッコミを入れながらニヤケる彼女は、きっと愛しの旦那様を思い浮かべているのだろう。分かりやすすぎる。

「仕方ないよね。決めちゃったものは。」
「そうです。仕方ないです。」

口に出して言うのは恥ずかしいけれど、好きになってしまったものは仕方ないのだ。
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