美人はツラいよ
千景さんは納得してくれたものの、浮かない顔でため息を落とす。
「仕方がないとはいえ、どうするかな。一気に二人も抜けて仕事回る?正直、恐ろしいわ。」
「それについては、本当に申し訳ありませんが、よろしくお願いします。千景さんが産休取るとか言い出したら、たぶんアウトです。」
「ホントだよ。どうしてくれよう。おちおち妊娠も出来ないじゃん。」
「否定しないんですね。まだ予定ないとか。」
「だって、可能性がないとはいえな…」
ぶつぶつと幸せそうに文句を言う千景さんに、そっと耳打ちで種明かしする。
「朗報かは分かりませんけど、私はもうあと一年お世話になる予定です。」
「えっ、一緒に付いて行かないの?」
「ええ、田上さんが、さすがに萱島に恨まれるから仕事辞めるのは時間差にしようって。しばらくは、週末の通い婚です。」
「助かる~。田上さんが最後にやっと、主任らしく見えた。」
さらっと言われた彼の悪口は聞かなかったことにして、私は食後のコーヒーを飲み干した。