美人はツラいよ

「どういうこと?」
「私みたいに平凡顔だと、若い頃にチヤホヤされるのなんて、たかが知れてるの。しかも、小さい頃からその扱いにも慣れてるから、別に何とも思わないし。歳を取ったところで、周りの対応もそれほど変わらないわ。」

思わず聞き返せば、つらつらと解説が始まった。
こういう時の涼子は、饒舌だ。
おっとりしているように見えて、実は持論をはっきりと主張するタイプ。
そのギャップが、彼女の持ち味でもある。

「だけど、千景ちゃんは違う。多分、今まで、綺麗だ、可愛いと言われ続けて、デートにも沢山誘ってもらえただろうし、仕事でもプライベートでも相当な特別扱いを受けてきた。」

明らかに言い過ぎの感があるが、涼子の迫力に圧されて私はコクリと頷いた。
すると、ここで由紀恵が急に割り込んでくる。

「でも、残念ながら世の中の男の大半は、ロリコンなのよね。」

由紀恵が得意げに言った一言を受けて、涼子はため息混じりで話を続けた。

「そう、由紀恵ちゃんの言うとおり、若くなくなった途端に、男の人の興味の対象は若い女の子に移っちゃうの。」

このくだりは、耳にタコができるほど何度も聞いた話だ。
今まで、この二人以外からも散々忠告されてきた。
若いうちに結婚しておきなさい、と。
しかし、今日まで幾度かの恋愛を経ても、結婚したいと思う相手に巡り会わなかったのだから仕方があるまい。
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