黒猫とさよならの旅


「これから、は」
「ん?」
「これからは、一緒に頑張りたい」


 自分で、あ、と思うくらい曖昧な表現だった。
 でも、これが今の精一杯の私の気持ちだ。

 恥ずかしくて俯いてから、なんの反応もないことに不安を感じてそっと彼を見上げると、ぽかんとした表情で私を見ていた。ほんの少し、頬が赤く染まっているように見える。


「あー……え? んー……おう」
「っ、あは、は……!」


 首を傾げながら、何度か頷いて、どれでも戸惑いを隠し切れない彼がすごく可愛く見えてしまって、思わず吹き出してしまった。


 まだ春には遠い冬の終わり。


 小さな変化に気づかないまま、次第に春に変わっていくんだろう。

 だけど、春がくる頃、きっと私はほんの少しだけかもしれないけれど何かが変わっているんじゃないだろうかと思う。そう考えると、とても楽しみになった。


 ◇


 なりたい自分になれるように、頑張るよ。

 素直になったり、歯を食いしばったり、泣いたり、叫んだり。それらは全部、ピアノ、きみが教えてくれた。


 なんでもできると、言ってくれた。

 疲れたときは、思い切り逃げ出して、全てを忘れて、本当に私がやりたいことを、見失わないように、いろんな方法を探して頑張って、未来を作っていくよ。



『きみは、どうしたい?』



 黒猫がそう言って、背後を通り過ぎた、そんな気がした。



END
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