遥か~新選組桜華伝~


遥空が刀を下げると、血がポタリと畳に落ちる。


「…俺がそう決めたんだ。
貴様らの言葉など聞く気はない」


血に濡れた刃先を見つめ、遥空は忌々しそうに言った。


「てめぇ…」


土方歳三が右腕を押さえながら、遥空を睨む。


着物に滲んだ血が手を真っ赤に染めている。


遥空は私達を見下ろすと


「言っておくが…俺の知る新選組の機密は芹沢の件だけじゃない。

遥に何かあったら、どうなるかわかってるよな?」


挑発するように言った。


「くそっ…!」


土方歳三は唇を噛んだ。


「遥」


不意に遥空が私の名前を呼んだ。


ビクッと肩が跳ね上がる。


向けられる残酷な笑顔がすごくすごく怖い……。


だけど…私は人殺しの道具になんかなりたくないから


「…遥空」


精一杯彼を睨みつけたんだ。


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