忘 恋

「食べて。」
と、言うと
留衣は、少しずつ食べた

翔君は、
「美味しい」
と、言って
沢山食べてくれた。
「留衣、薬飲めるようになったの?」
と、訊ねるが
留衣は、首を横にふった。

「はぁ!」と、私。
「ため息つくな!」と、留衣
「なら、奥さんに飲ませてもらいなよ。」
「ああ。」と、留衣。

翔君は、不思議な顔をして
「先生?僕には、お母さんいないよ。」
「あっ‥‥‥‥」と、留衣。
「翔君、ママいないの?」
「うん、僕がまだ、小さい時に。
   ねぇ、パパ。」と。
「そうなの?留衣?」
「ああ、男つくって、海外に逃げた。」
「あの、綺麗なルナさん?」
「綺麗か、なんか知らねえ。」
「はぁ?奥さんだよね?」
「政略結婚だ。興味ない?」
自分の妻で、翔君のお母さんに対して
なんて····こと······
「あなたは‥‥ああ、今日はいい
薬飲まないと、治らないから。
翔君は、お風呂に入っておいで
一人で、大丈夫?」
「うん、大丈夫。いつも一人だから。」
「えっ、留衣?翔君を一人でいれてるの?」
「ああ、問題ない。」
「ダメじゃない、ちゃんとお父さんしないと。」
「俺は、お前以外に
   優しくするつもりはない。」
「私にも、優しくなかったじゃない
  ‥‥‥‥‥最後は。」
「あれは‥‥」
「もう、昔のことだから良い。
ほら、薬を飲むよ、目を閉じて」
「あっ、いいよ。」
「だめ、長引くから、ほら。」

留衣が、目を閉じたから
薬を含んで、口うつしで飲ませた。

あの時と、同じだ、胸がドキドキした。
留衣が、私の頭を押さえつけて
深いキスをしてきて
私は、頭がボーッとしていたら

翔君の
「先生、あがったよ。」
の、声で、留衣を突き飛ばした。
「はぁ、雫?」
と、留衣は言って、ジタバタしていた。

「翔君、あがったの?」
と、私は、翔君に言ってから
翔君と色んな話をした。

翔君は、疲れて眠ってしまったから
部屋に運んで寝せた。
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