忘 恋

雫は、手術中で
翔は、看護師の人と座っていた。

俺を見つけると、抱きついてきて
「パパっ、パパっ、ぼくのせいだよ。
僕が、もう一人のママについて行ったから」
と、泣きながら訴える翔に
「お前のせいじゃねえ。心配するな。」
と、言って抱きしめていると
翔は、ずっと泣いていて、泣きつかれて
眠ってしまった。

俺は、翔を抱いたまま
雫の両親と自分の両親に連絡した。

もう、食事の席にいたらしく
みんな一緒にきてくれた。

姉の心咲が、
「どういうことなの?」
翔は、義兄が、抱き取ってくれた。
「翔の話だと、ルナがきて、パパ達が
待ってるから迎えにきた
と、連れ出したらしい。

それを雫が、追いかけて
ルナと言い合いになり
ルナが、道路を横断しようとしたとこに
車がきて、雫が二人を庇って‥‥
雫が、跳ねられたみたいだ。」
と、話していると
警察とドライバーがきて
話があった。

ドライバーは、謝っていたが、
「あんたが悪いわけじゃない」
と、俺は一言だけ。

心咲は、警察に
「女がいませんでしたか?」
と、聞くと
「いました。放心状態の人が。
いま、先生に診てもらっています。」
と、言った。

親父は、直ぐに元木さんに
電話して、病院に呼んだ。

俺は、雫の両親に
「すみません。
こんなことなってしまい
本当に申し訳ありません。」
と、頭を下げると
「翔君を護るために、したことです。
僕は、娘を誉めてやりますよ。」
俺も家族も、雫の両親に
「「「「ありがとうございます。」」」」
と、言って頭を下げた。

そこに、先生がでてきた。
「手術は、無事に終わりました。
右腕の骨折と全身打撲です。
運転手さんが、かなり減速したようですし
高野さんの体の柔らかさのおかげですね。」
「ありがとうございました。」
と、言われた後に
俺は、体がガタガタと震えた。
運転手が減速しなかったら
と、思うと···
そう、考えている時に
先生から
「ご主人、大丈夫ですか?
奥さんは、二、三日は、打撲のために
熱が出ます。」
と、言われて
「はい。私は、大丈夫です。
先生、付き添いをお願いします。」
と、言うと

「では、個室に移りましょう。」
と、言ってくれた。
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