忘 恋

そこに、バタバタと足音が聞こえ
元木夫妻と母親に連れられてルナがきた。

親父が、
「元木さん。
これはいったい、
どういうことですか?
翔には、近づかないように
話しましたよね。
子供を捨てて、出ていったのは
お宅の娘さんですよ。
いくら、留衣に問題があっても
翔が、可愛かったら
置いては行かないはず
それなのに、今になって。
その上、うちの大事な嫁に
怪我までさせて
どう、責任とるおつもりで?」
と、怒鳴りつけると

元木夫妻は、深々と頭を下げて
謝っていた。

留衣は、
「帰ってくれ!!
雫の命には、問題はなかったが
要らぬ痛みを与え、
翔は、目の前で事故をみて
尚、自分のせいで雫が
怪我をしたと泣いていたんだ!
恨むなら、俺を恨め!!
雫や翔に、また何かしたら、
その場で、お前の会社潰すぞ。」
留衣の殺気に
元木夫妻の顔は、青ざめ‥‥
「お約束します。
本当に申し訳ありませんでした。」
と、言って
頭を下げて帰った。

後は、親父が対処するだろうと。

暫くは、麻酔で起きないみたいだから
と、俺以外は皆帰って、
明日来ることになった。
翔は、心咲が連れて帰ってくれた。

俺は、雫のベッドの横に座り
雫の手を握りしめた。

「雫、すまん。
お前に怪我をさせて
俺が、女に対して、人に対して
冷たいあしらいをした
報いか‥‥‥‥
俺が、怪我をしたら
良かったんだ。
翔は、無傷だった。
ありがとうな、翔を守ってくれて。」
と、言うと

「‥‥‥‥‥良かった。
翔が、怪我してなくて。」

「雫?気がついたか?
良かった‥‥‥よかった‥‥」
と、留衣はいいながら、私をそっと
抱き締めた‥‥その腕は‥‥震えていて
あんな、俺様の留衣が‥‥
どんだけ、心配させたか‥‥

「ごめんね、留衣。
   ・・・心配かけて‥‥」
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