焦れ甘な恋が始まりました
――――VENUSオープン初日。
様々な不安要素を抱えながらも、稀に見る大盛況で迎えたその日は、お客様の笑顔で館内を埋め尽くした。
蓋を開ければ、初日の目標集客率100%を大きく超える125%という記録を残して。
そのVENUSのロビーで今、某テレビ番組のインタビューを受けているのは下條社長だ。
テレビ映えのするであろう外見の社長は終始笑顔で、物腰柔らかにリポーターの質問に答えていく。
時々、リポーターの際どい質問が入るけれど、それさえも自分たちのアピールポイントへと上手く繋げる辺りは、流石と言ったところ。
「お話を聞く限り、VENUSでは様々な新しい企画に挑戦していますよね。それは全て、下條社長の発案なのでしょうか?」
「いえ。もちろん、VENUSの基盤となるコンセプトを置いたのは私ですが、それを彩る様々な企画は社員たちが考え、今日のオープンに向けて準備しました。ここまでくるのに本当に色々ありましたが……壁にぶつかる度、全員で協力し、解決策と打開策を見つけて取り組んできたんです」
「噂では、手書きのご挨拶状を送付した……なんてお話も聞きました」
「はい。それも、一社員の発案から始まり、最終的には社のほとんどの人間が準備に関わりました。
VENUSは、そんな風に社員一人一人のアイデアや努力が詰まった施設でもあるんです。そして、そんな風に作りあげたものだからこそ……本当の意味で心の篭ったおもてなしを、お客様に提供できるのだと私は考えます」