焦れ甘な恋が始まりました
そんな社長を視界の端で認識しながら、私はなんとか今の状況を誤魔化そうと必死だった。
「お、お疲れ様、狩野くん……!狩野くんは、今までフロアにいたの!?」
「そうなんですよー!なんか、興奮していてもたってもいられなくて、お客さんに紛れて館内をウロウロしてました」
「そ、そっかぁ~!しゃ、社長、狩野くんって本当に仕事熱心ですよね!私も、見習わなきゃ!」
「えー、そんなことないですよー、照れるなぁ、もう」
「あ、あはははは……」
「…………、」
社長……!社長も少しは、協力してくださいよ……!
だけど、そんな私の心の叫びは届かずに。
未だ眉間にシワを寄せたままの社長に、とにかく明るい狩野くんが迫り来る。
「あれ?社長、なんか機嫌悪くないですか?もしかして、インタビューで嫌なこと聞かれたとか!?」
「…………安心してください、大丈夫でしたよ。
っていうか、狩野くん。キミ、VENUSのオープン終えたら、しばらく社長室の出入り禁止ね?」
「え、ええーーー!!なんでですか!?」
「なんででも。寧ろ一生、出禁。コレ、業務命令」
「そんな、殺生なー!理由を教えてくださいよ、理由をー!」