焦れ甘な恋が始まりました
……本当に。
今更だけど……とても綺麗な顔立ち。
どこまでも真っ直ぐで、揺るがない意志と行動力を備えた……とても聡明で、素敵な人。
そんな人と今、またこうして夜の海に来ているだなんて、嘘みたいだ。
こんなにも幸運な出来事が、二度も起きるだなんて。
「……俺的には、寧ろラッキーだったんだけどな」
「へ?」
「だって、日下部さんといられる時間が一時間長くなった上に、可愛い寝顔まで見れたし」
「っ、」
「まぁ……ちょっと無防備過ぎて、襲っちゃいそうにもなったけど、ね?」
クスリ、と。
言葉と一緒に誘うような笑みを向けられて、身体が沸騰したように熱くなった。
「ほら……中々、寝顔まで、見せてもらえないから」
ああ、もう……
本当に、やめてほしい。
社長はからかっているだけでも、私からすれば、そんな風に甘い言葉を渡されるたび、不毛な期待をしてしまうんだから……
社長には、そんなつもりは少しもないとわかっていても、馬鹿な私の心が勝手に踊って、期待してしまうの。