月が満ちるまで



なんとかちはやちゃんの機嫌をとりながら、自転車を走らせる。

今度は、俺とちはやちゃんが並んで、後ろに海斗と風花ちゃんだ。

そんなこんなで、つるんでやって来たのは、湖。とは言え人工の小さいもの。学校のトラック並の広さしかない。

だが。ここにはある。

カップルなら胸躍らせるボートが!



「ナイスセレクト!オレいっぺん乗ってみたかったんだ、手でこぐボート」

「乗りたいの、宮原」

「もちろん。一緒しようよ、ちはやちゃん」

ちはやちゃんは難しい顔をする。

「なんかないでしょうね、ジンクスとか…」

「大丈夫。まだボク達、お友達でしょう」

ちはやちゃんの口からジンクスなんて聞くと付き合ってるみたいだ。
顔がにやけてしまう。

ちはやちゃんはムスッとして、

「ボート代、宮原もちなら乗ってあげてもいいわよ。お情けでね。せっかくだから、ふうちゃんも渡辺と乗ったら」

海斗は風花ちゃんを見て 、赤くなる。

誘えんのかな、海斗。



「そうと決まれば、もたもたしない」

ぱちんと指を鳴らした、ちはやちゃんが歩いていく。

「お待ちください、姫~」

追いかけて、ボソッと耳元で言う。

「だいじょぶかな、海斗」

「なんとかするでしょ、付き合いたかったらね」

そう。そこまで面倒みられません。
オレだって自分のことで精一杯だ。



実は、かなり嬉しい。

好きなコとボートに乗るなんて。何周だって回りたい。ボートの上は動く密室。



ここだ!



ここで、告白だろー!

お友達から、彼氏にステップアップだ!!

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