月が満ちるまで
なんだか照れくさい。
ハルに彼女ができるなんて。
まだハルの知らないとこがあったなんてな。
幼なじみの腐れ縁だけど、知ってることなんて、本当は少ない。
全部知ろうとは思わないけど、これからもコイツとはつるんでいくんだな。
少しづつ関係を変えながら。
「天然氷のかき氷、食べたいね」
自転車で走るのに疲れ、軽井沢銀座まで戻っていた。
ジャムの棚をみながら、浦川が言った。
表情は、コケモモにしようかブルーベリーにしようか悩んでいるようにも見える。
「唐突だな」
「のどが渇いたね、ふうちゃん」
イエローカードだ。これから彼女を落として、食べに行く気だ。
「天然氷かぁ。いいね」
あっさり陥落だ。
ハルはといえば、真剣に思案中だ。
手には、木苺、ブルーベリー、コケモモ、薔薇のジャムが握られている。
……決まらないらしい。
「ハル、決まらないのか」
「うん…すっげぇ悩む。ブルーベリーは定番だけど、木苺と薔薇はレアでしょ。でもってコケモモはチャレンジャーなんだ」
「……どうでもいいから、早く決めろ。みんな買ってしまえ」
「全部じゃなく、二つにしたいから悩むんだろ」
ほかの奴が、清算を済ませてハルを待っていることには気づかないのか…
深い悩みらしい。