月が満ちるまで
ガイドブックに載っていた店は奥まった所にあった。
「日本では軽井沢、日光、秩父しか天然氷を作っていないんだって」
メニューを見ながら浦川が言う。ちら、とハルを見た。
「うわっ嘘だろ…かき氷の値段じゃない」
「それだけの価値があるってこと」
ぱたんとメニューを閉じて橘さんに渡す。
受けとってなにげなく髪をかきあげる。一瞬だけ見えた首にどきりとする。
「ちはやは何にするの」
「いちご。王道でしょ」
「いいね。メロンにしようかな。半分こしようよ」
「ん~~いいけど」
視線はハルにいく。
「よーーしっ決めた!オレマンゴー!!ちはやちゃんオレにも味見させてよ」
全開の笑顔で。
見ているとつられて笑ってしまう。
憎めない奴だなぁ。ほんと。