月が満ちるまで



ガイドブックに載っていた店は奥まった所にあった。

「日本では軽井沢、日光、秩父しか天然氷を作っていないんだって」

メニューを見ながら浦川が言う。ちら、とハルを見た。

「うわっ嘘だろ…かき氷の値段じゃない」

「それだけの価値があるってこと」

ぱたんとメニューを閉じて橘さんに渡す。
受けとってなにげなく髪をかきあげる。一瞬だけ見えた首にどきりとする。

「ちはやは何にするの」

「いちご。王道でしょ」

「いいね。メロンにしようかな。半分こしようよ」

「ん~~いいけど」

視線はハルにいく。

「よーーしっ決めた!オレマンゴー!!ちはやちゃんオレにも味見させてよ」

全開の笑顔で。

見ているとつられて笑ってしまう。
憎めない奴だなぁ。ほんと。

< 39 / 40 >

この作品をシェア

pagetop