14年目の永遠の誓い
カナは幸せそうな笑顔を浮かべて、わたしを一度抱き上げ優しく抱擁した後、床に下ろす。
「ハルのウェディングドレス姿、最高に可愛かった」
今度は額にキスが降ってきた。
人生で一番なんて大げさだよ、と一瞬思う。
けど思い返してみると、わたしも同じで、今日は今まで生きてきた中で一番満たされた一日だった。
カナの笑顔に心がほっこりと暖かくなる。
わたしがクロゼットへと歩いて行くと、カナも楽しげに後を付いて来た。
クロゼットの引き出しの中から、お目当ての小箱を取り出す。
と、同時に、一緒にしまってあった幅広のシフォンのリボンがふわりと宙を舞った。
「あっ」
慌てて拾おうとしたけど、先にカナがしゃがんで拾ってしまった。
何を飾るでもない一本のリボン。
だけど、何かをほどいた訳ではない、皺ひとつない見るからに質の良いそれを見て、カナは不思議そうに聞いてきた。
「ハル、これは?」
「……えっと、それは、」
田尻さんにだけは、カナのお誕生日に入籍する事に決めたと報告した。
お式の事は言わずに、ただ「相談に乗ってくれて、ありがとう」とだけ伝えた。
その時に、絶対にカナが喜ぶからと勧められたカナへのお誕生日プレゼント。
「しまっとけば良い?」
わたしが困ったような顔をして思わず目をそらすと、カナは不思議そうに首を傾げた。