14年目の永遠の誓い
「でも、嬉しいわね。叶太とこんな話ができる日が来るなんて思ってもいなかったわ」



そりゃそうだ。オレは自分で宝石を着ける趣味はない。

お袋はもう1つの指輪を差し出した。



「これが、0.75カラット。ちょっと小ぶりでしょう?」

「うん。確かに。……ねえ、これとそれ、はめてみて?」

「いいわよ」



お袋は左右に1つずつ指輪をはめてくれた。



「こっち、婚約指輪じゃないんだよね? なんで、そんなにダイヤの指輪を持ってるの?」

「ダイヤは誕生石だし、お父様が記念日にプレゼントしてくれたりするのよ。それに、ダイヤだけじゃなく、他にも色々あるわよ?」



確かに、2つの宝石箱には、ルビーやサファイヤ、エメラルド……他にも知らない宝石を使ったアクセサリーが山ほど納められていた。

親父、けっこう貢いだな。



「それより、ほら、比べなくて良いの?」



パーにした手の甲を見せられて、まじまじと観察。



「1カラットって大きいは大きいけど、指にはめると、そこまで違和感ないんだね」

「そうね。確かに、デザインリングなら、もっと大きな宝石を使ったものが幾らでもあるものね」

「じゃ、せっかくだから、大きい方にしよう」



お袋が外した、1カラットのダイヤの指輪をまじまじと見ながら、そう言うと、クスクスと笑われた。

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