14年目の永遠の誓い


「指輪は何回でも贈れるけど、婚約指輪は一生に一回よ? 後悔しないように、たくさん悩んで決めなさいね」

「うん。そうする。……ところで、これって、どこで買えば良いの?」

「信頼できるお店ならどこでも大丈夫だけど……。ダイヤはね、鑑定書が付いてくるものなの。

その鑑定書の発行機関がちゃんとしたところなら心配ないわ。

台の方はプラチナの純度くらいだけど、ゴールドと違ってそこまで気にしなくて良いし、デザインで選んでしまって大丈夫よ?」



過去、ハルにプレゼントを買ったのは、デパートに入ってる店だった。

婚約指輪も置いてあるかも知れない。



「ねえ、もし、良かったら、お勧めのお店に連れて行きましょうか?」

「え、いいの!?」

「もちろん。こんな楽しいこと、見逃す理由がないわ」



お袋は嬉しそうにオレを見た。



   ☆   ☆   ☆



お袋に連れて行かれた宝石店は、やけに高級感がただよっていた。

でも、これというのは見つからず、何日かかけて他にも何軒も店を巡り、ようやく選んだのは、ゆるくカーブを描いた細工の細かなリング。

真ん中にはめるダイヤを取り寄せ、やっと形になったのは、お袋に婚約指輪の相談をしてから一ヶ月と少し経った頃だった。



最高クラスのダイヤの隣には寄り添うようにメレダイヤが2つ。その内の1つがピンクダイヤ。リングに並ぶ5つのメレダイヤと共にアクセントになっている。

プラチナの台にダイヤモンドって妙に気高くて固い感じがするんだけど、この指輪は、カーブのあるデザインや小さなピンク色のダイヤのおかげで、随分と可愛いらしい雰囲気だ。



それが、ふんわりした穏やかなハルのイメージにぴったりな気がして、気に入った。



すべての準備が整ったのは、ハルの誕生日の一週間前だった。

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