キスは目覚めの5秒後に

ずーっと考えていて、頭が沸騰して煮えて溶けてしまいそうだ。

翻訳って難しい。

自分のボキャブラリーのなさに、ほんと幻滅する。

うーん、これはどうすれば・・・注釈って仕組みを書けばいいの?暖房器具じゃだめかな?

ぶつぶつと呟きながらパソコン画面を睨んでいると、エレンが足早に近づいてきた。

ねえミヤコ?と呼び掛けてきてチャーミングに笑う。


「いつもランチはどうしているの?」

「橘さんと一緒に下のレストランに行って食べているわ」

「そう。あー、ひとつ提案があるんだけど。今日は、私たちと一緒にしない?みんなミヤコと話したいのよ」

「でも、エレンたちはお弁当でしょう?私は持ってきていないわ」


彼女たちはいつも、それがお昼御飯?というものを食べている。

シリアルとヨーグルトだったり、パンと牛乳だったり、ひどいときは甘いお菓子だけだったり。

留学中も学友たちがそんな風だったから、すごくショックを受けたっけ。それでいいんだ!?って。

まあ最近は日本でも、カロリーを気にしてオニギリだけの子が多いけれども。

ちなみに私はきちんと食べる派だ。


「この近くにすごくいいお店が出来たの。中華料理なんだけど、どう?好き?行こうよ!」

「中華は好きよ!いいわね!」


エレンたちにランチに誘われるなんて、すごくうれしい。

でも・・・。


橘さんをチラッと見る。

彼は今男子社員と話をしていて、こちらには気づいていない様子。

行きたいけれど急だもの、無理かもしれない。

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