キスは目覚めの5秒後に

そして仕事が終わる時間になると、女子社員みんなに囲まれた。

エレンが涙でくしゃくしゃな顔で抱きついてくる。

「ミヤコー!」ってぎゅーっと抱き締めてきたから、私も涙が滲んだ。


「ミヤコがいなくなると、すごく寂しいわ!」

「みんなと仕事ができて、すごく楽しかった。社員でもない私に親切にしてくれて、本当に感謝してるわ」

「それは、なんでもないことよ。それにタチバナのアシスタントだもの、至極当然のことだわ!そうだ、ミヤコ。これプレゼントよ。受け取って」

「わあ!ありがとう、エレン。なにが入ってるの?」


艶やかな青いリボンがかかった黒い包み紙。それを丁寧に取ると、表紙に黒いうさぎが描かれた、ノートのようなものが出てきた。


「それ、みんなで協力して製本したの。中を見てよ」

「わあ・・・すごい」


エレンがくれたのは、このオフィスで働くみんなの写真だった。

一人ずつ写してあって、パソコン操作してる真剣な表情の男子社員とか、とびきりの笑顔で手を振る女子社員とかが、写真集みたいに綺麗にまとめてある。

各ショットには名前とコメントが入れてあって、癖のある字やきっちり丁寧な字、カラフルなペンで噴き出しやハートで囲んであったりして、個性溢れるそれはみんなの直筆だと思えた。

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