ブラック-SS-



「アオイ」




聞こえてきた彼の声に、寝ていろと言われていたのに寝ていない彼女はあからさまに「やばっ!」と言ってしまいそうなほどの焦りを見せるけれど




「ほらよ」




その彼の言葉に今度は花が咲いたようにパァっと顔をほころばす。




「レイジありがとう!」




そんなにリンゴジュースが飲みたかったのか、熱のせいで少し紅い頬を持ち上げて笑いながらリンゴジュースを受け取る。




きっと男子がこの笑顔をみたら思わずキュンとしてしまうんだと思う。




だけど目の前の佐伯レイジはとくにその綺麗な表情を変える事なく





「単純」と小さな溜息を落とした。




いつも寝てるか無表情かイライラしている所しか見たことのない彼のこんな表情を彼女はいつしも見ているのかと思うと胸が苦しい。



彼女の前でしかしないたくさんの表情があることに心が痛かった。




そんなの当たり前なのことなのに




< 19 / 24 >

この作品をシェア

pagetop