腹黒王子に秘密を握られました
 

「まじで? 金子さんと別れてすぐ柴崎くんと付き合うとか、ほんとありえない」

「ほかの女の子にも言っておいてくださいよ。友野さんは俺のだって」

もしそんな噂が広がったら。
そう考えてぞっとする。

今でも数えきれないくらい悪口を言われ、嫌がらせされてるのに、その上柴崎くんと付き合い始めたなんて噂が広がったら、明日からはどんなことになるんだろう。

そうやって人から嫌われてまで、自分の本性を隠してなんの意味があるんだろう。
それなら、オタクだって気持ち悪がられているほうが、ずっとマシな気がした。

今まで必死につくろってきた完璧な自分が、無意味なことに思えた。

「柴崎くん」

柴崎くんの顔をまっすぐに見つめて、口を開く。

「私のことなんて好きでもないのに、金子さんに対抗して付きあおうとしても、意味ないよ」

「はぁ……?」

私が反論することなんて予想してなかったんだろう。
私の手首を掴んでいた指先から、力が抜けた。

「そんなことしたって、お兄さんへのコンプレックスはなくならないよ」

「は、なにわかったようなこと言ってるんですか? あのこと、バラしますよ」

私の言葉は図星だったようで、柴崎くんの顔が赤くなる。

自分の中に迷いは全く無かった。
私は開き直って背筋を伸ばす。


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