腹黒王子に秘密を握られました
「この近くで打ち合わせがあって通りかかったら、テラス席にいるのが見えたから」
「そうなんですか。でも、お金……」
「いいよ」
「あ、ありがとうございます」
「ん」
カフェの外に向かって歩きながら私達のやりとりを見ていた相楽さんが、不満そうに舌打ちをした。
「目の前でいちゃつかないでくださいよー」
「別にいちゃついてないけど?」
相楽さんのことをちらりと見た金子は、小さく笑いながら私の腰に手を回した。
ぐい、と急に体を引き寄せられ目を丸くしていると、長い指が私の唇をなぞる。
「ん……!」
唇に感じた、少し冷たい指先の感触に思わず固まると、
「口の横にソースついてた」
笑いながら、私の目の前で赤いトマトソースがついた指先を、ぺろりと舐めてみせた。
わーわーわー!
間接チュウ!!
ってか、綺麗な唇からのぞいた赤い舌とか、煽るようにこちらを見る視線とか、私の腰に回した腕とか、いちいち色っぽすぎるんですけどっ!!
パニックで顔を真赤にしている私を見て、金子はくすりと笑うと腰を支えていた腕を離す。
思わずその場にへたり込んだ私に、「じゃあ俺は先に会社戻るから」と言い残し、涼しい顔で去っていく金子。
くそう、散々人を動揺させておいて、おきざりかよ!
ほんと性格悪いなこいつ!!
歩道にへたりこんだまま金子の後姿を睨んでいると、となりで相楽さんがあきれたようにため息をついた。