腹黒王子に秘密を握られました
「金子さんって余裕ある大人かと思ってたら、けっこう嫉妬深くて心が狭いんだ」
「は? どういう意味?」
「気付かなかったの? レジのそばの席にいたサラリーマン二人組、私たちに声かけるタイミングずっと狙ってるっぽかったのに」
「へ?」
「それに気づいて金子さん、わざと見せつけて牽制したんでしょ。いくら付き合ったばっかりだからって、過保護すぎ。そもそも友野さんより若くて可愛い私狙いに決まってるのに。まぁ、あの程度の顔面偏差値の男に口説かれたって、嬉しくもないけど」
ランチを食べたばかりだっていうのに、綺麗なピンク色の唇は今日もよく動く。
一体どこの口紅使ってるんだろう、なんてぼんやりと眺めていると、冷たい目で見下された。
「ってか友野さん、いつまでしゃがみこんでんの」
「や、ちょっと、腰ぬけた」
「はぁ?」
「ごめん。立ち上がれないから、手貸して」
相楽さんの手を借りて、よろよろと立ち上がる。
「なにあのくらいで腰砕けてんのよ。付き合ってんでしょあんたたち」
呆れた口調でそういう相楽さんに、私は真剣に聞いてみる。
「ねぇ相楽さん、同僚が格好良すぎて腰が砕けたって言ったら、労災おりるかな」
「……知らねぇよ。ってか、木っ端微塵に爆発しろバカップルが」
「……ひどい」
容赦無い相楽さんに私は顔をしかめた。