腹黒王子に秘密を握られました
「はい、大丈夫?」
そう言って差し出されたのは、スチール缶に入った温かいココア。
あぁ。もう自販機にホットのココアが登場する季節なのね。
最近すっかり肌寒くなってきたもんね。
なんてぼんやり考えながら受け取ると、目の前の金子敦がほっとしたように笑った。
「突然倒れるからびっくりしたよ」
そう言われて見渡せば、そこは自動販売機が置いてある休憩所。
私はそこにおかれたソファーの上で横になっていた。
「すいません……」
そうか、私事務所で倒れてしまったんだ。
手の中のココアの温かさをじんわりと感じながら身体を起こすと、かけてあったひざ掛けが滑り落ちそうになる。
慌てて抑えようとすると、先に金子が手を伸ばし拾い上げたひざ掛けを、今度は私の肩にそっとかけてくれた。