腹黒王子に秘密を握られました
「すげー面白いよ。友野さんがずっと前から彼氏と俺を二股かけてたとか、ほかにも上司に色目つかって社内で男漁りばっかしてるとか、最終的に俺が悪い女に騙されて可哀想ってなんか同情されてんだけど」
二股? 男漁り? 悪い女?
勘弁して、マジで。
「さいあく……」
がっくりと肩を落として頭を抱える。
そんな私を見て、金子はいいじゃんと能天気に笑った。
「別にそんなの気にすんなよ。どうせ今までだって、ちやほやしてほしくて完璧な女演じてたんだろ? 美人で仕事ができてエリートの彼氏がいるって肩書きに、男にもてまくる魔性の女って称号がついただけじゃん。同性に嫉まれて光栄だわって笑ってろよ」
「ふ、ざけんな……」
この男は、私が今までどんな思いで必死に完璧を装ってきたと思ってるんだ。
「今まで、会社で悪目立ちしないように、嫌われたりしないように、必死で取り繕ってきた私の気持ちがわかる!? 素の自分を見せたら、オタクなんて気持ち悪いって、からかわれて見下されるだろうから、誰にも必要以上に踏み込まれないように、完璧を装って人と距離を置いて、五年間そうやって仕事してきたのに……っ!」
絞り出すような声でそう言うと、にやにやと軽薄な笑顔を浮かべていた金子の口元から、笑みが消えた。