腹黒王子に秘密を握られました
よろよろしながら事務所に戻ると、「大丈夫?」と課長が声をかけてきた。
「すいません。ちょっと寝不足と貧血で」
もっともらしい言い訳をして頭をさげると、課長の口元がにへらっと緩む。
「そうか、今日は寝不足だよなぁ。昨日から金子と付き合いはじめたんだもんなぁ」
「ち……っ!」
ちがうちがうちがうちがうっ!!
なんか思いっきり変な想像されてる!
思わず目をむいた私を見て、
「おっとこれ以上言うと、コンプライアンス室行きになっちゃうな」
なんてお決まりのジョークを飛ばされた。
金子となんて付き合ってませんから! と叫びたい気持ちをなんとか堪える。
こんなに噂が広まってるのに、別れただのやっぱり付き合ってないだの言えば、さらに面白がって色々詮索されるだろう。
ここは不本意だけどじっと耐え忍ぶしかない。
フーッ、フーッ、と荒い息を吐きながら精神を落ち着かせ、鉢植えの手入れをする。