腹黒王子に秘密を握られました
「綺麗にお使いですね。早速拝見してもよろしいですか?」
「あ、はい、どうぞ」
イケメンオーラ全開の金子に話しかけられるたびに、依頼主の西村さんがわずかだけど飛び上がる。
わかる。わかるよ、その気持ち。
女子の全てがイケメン好きというわけじゃない。
非の打ちどころのない王子様が、うさんくさくて苦手だって人種ももちろんいる。
きっと金子は電話の打ち合わせでそのことをなんとなく察して、私に同行させたんだろう。
まったく、憎らしいくらい完璧な男だ。
そう思いながら、部屋の中を査定する金子の後姿を眺める。
「風通しがよくて、とても気持ちのいい家ですね」
私が話しかけると、ほっとしたように西村さんは笑い返してくれた。
白い頬が少し恥ずかしそうに上気していて、年上なのに可愛らしい人だなと思ってしまう。
「ありがとうございます。生まれ育った実家なんですけど、両親が身体を壊して介護サービス付きのマンションに引っ越してしまったんですよ。私は一人暮らしをしていてとても管理できなくて」
「一軒家は人がいないと痛んでしまいますしね」