腹黒王子に秘密を握られました
「まぁ、いいや」
なんか疲れたと言いながら、金子はコンビニで買ってきた煙草の箱を開け、火を付ける。
煙草吸うんだ。事務所では吸わないから、知らなかった。
そう思いながら、改めてA賞のフィギュアに見惚れる。
はぁ、素敵……。この表情、髪型、首筋のライン。スポーツマンらしく逞しい胸筋と肩、引き締まった腰回りに、きゅっと細い足首。
服のシワとか、ふくらはぎの筋とか、手の甲とか、もうっ。
なんという造形美……!
あぁ、もう嬉しすぎて鼻血がでそう……っ!
「開けないのか?」
じっと箱の外からフィギュアを凝視する私に、金子が不思議そうに首を傾げた。
「ちゃんとお部屋で身を清めて手をアルコール除菌してから開けますよ。こんな社用車の中で、煙草を吸って有害な煙をまき散らしてる奴の隣でなんて開けません」
「てめぇ……、感謝の気持ちゼロだな」
「ひぃ……。感謝してます! 本当にっ!」
煙草を咥えた金子に、ぎろりと睨まれて縮み上がった。
「まぁいいけどよ。そんな人形どうすんだよ」
「上から前から横から下から、舐めまわすんですよ」
「……舐めるのか」
「いや、間違った! 舐めたいけど我慢して、あらゆる角度から舐めまわすように見るんです」
「その様子を想像するだけで恐ろしいな」
「じゃあ、想像しないでください」
ぷいっとそっぽを向いて、箱を抱きしめる。