ワケあり恋愛事情⁉︎
「菜々保、やるぞ!」


そう言って私に差し出された竹刀。


「あ…」


私はその竹刀を取れなかった。


腕が上がらない。


やらなくちゃいけないのはわかってる。


わかってるけど…。


「お嬢様!」


突然聞こえた声にハッとしてあたりを見渡す。


「雨宮…?」


姿は見えないけれど、あれは確かに雨宮の声。


ふと会場に入る時のことを思い出した。


『私はいつでもお嬢様の味方です』


ワンワン!


「チャー君⁉︎」


どこにいるかわからないけど、チャームの声もする。


『心の剣をもう1度』


あの時の海未の言葉が浮かんできた。


「………菜々保のお父さんはなんで菜々保に剣道を始めさせたか…覚えてるか?」


「え…」


お父さんの言っていた言葉。


『いざという時に自分の身を守るんだよ』


「それってさ、今この時のために言ったんじゃねぇの?」


「…………」

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